Future of Work:リモート時代のAirbnb

“Should I stay?”

Deep Dive: Future of Work

「働く」の未来図

[qz-japan-author usernames=” lmaclellanqz”]

暮らすように旅することを実現したAirbnb。それでは「暮らす」と「働く」がゼロ距離で同居する世界では、どんな価値を提供できるのでしょうか。Airbnbの取り組みのひとつを紹介します(原文)。

A woman uses her phone in a sunlit home with Southwest decor
“Should I stay?”
Image: Courtesy Airbnb

パンデミックが発生した昨年、Airbnbの予約数80%も減少しました。しかし、彼らは新たな顧客層を開拓することに成功しました。それまでオフィスでデスクワークをしていたワーカーです。ほかにもオンライン学習に精を出す若者や、自宅でリモートワークをしているうちに屋内に閉じ込められることに飽き飽きした人たちも。

結果として、Airbnbでの長期滞在の予約数増えてきています

Airbnbは最近、リモートワーカー対応のひとつとして、ユーザーが宿泊施設を検索する際に特定の日付を入力せずフレキシブルに検索できる機能を導入しました。これは、いまや多くの人にとって、旅行の“計画”が意味をもたなくなったということを意味しているといえるでしょう。

coupons for the curious

まずはお試し

自分たちがどこに住むのか。米国に住む一部の人たちにとって、その選択肢はずいぶん変化しました。離れて暮らしていた家族のもとに一時的にでも滞在して仕事をすることを選ぶ人もいれば、都市圏から脱出したいと考えている人もいます。

Airbnbは、「Move to Michigan」や「Choose Topeka」などの移住奨励プログラムと提携して、土地家屋を購入する前に“お試し”として住むことができるトライアルプログラムを展開しています。Airbnbが提携したのは、それぞれ移住奨励プログラムを運営する9団体。それらのプログラムが目指すのは、自分たちの小さな町に永住してくれるような人を、リモートワーカーとして(あるいは地元で働いてもらうために)誘致することにあります。

プログラムの運営者は、これまで移住希望者に対して決められた最低年数の滞在を約束することを条件に、現金(数千ドルから1万2,000ドル)や税制優遇措置、地元のサンドイッチショップで使える1,000ドル分のクーポンなどの特典を提供してきました。

彼らにとって、トライアルのためのAirbnbクーポンはあらたな“エサ”。入居希望者はまずAirbnbで宿泊し、その周辺の住み心地を試せるようになりました。Airbnbは2月にも、この手の移住奨励プログラムのひとつ「Tulsa Remote」(タルサリモート。米オクラホマ州タルサへの移住者には最大1万ドルなどが提供される)で初めてこのアイデアを試験的に導入していました。

Airbnbのクーポン内容は、提携先の各プログラムによって仕組みも使い方もさまざまです。大半の場合、移住資格を得たのちにAirbnbの補助金を受けられるようです。

また、この提携の特徴のひとつとして、Airbnbが各団体に1万5,000ドルを寄付することが挙げられます。評価額860億ドルのAirbnbにとってこれは小さな投資ですが、旅行のこれからを占うひとつの挑戦だといえるでしょう。

Travel is changing

拡張する「在宅ワーク」

CEOのブライアン・チェスキーは先日、『Fast Company』の取材に応じ、これからの旅行では、よく知られた都市の見どころを詰め込んだものではなく、地方の町や国立公園などが好まれるようになると考えていると語りました

チェスキーは、「多くの人が自宅で仕事ができるようになった世界では、どの家でも仕事ができるようになるのだから」と言います。ちなみにチェスキーは、その実現に「10〜20年かかると考えていた」ことを除けば、このシフトは必ず訪れるだろうと予見していたようです。

Image for article titled Future of Work:リモート時代のAirbnb

バーモント州からアリゾナ州への移住奨励プログラム「Marker」によると、米国では「非常に高い割合」の数のワーカーが場所を選ばず仕事をできるようになり、それによって移住の申請が「殺到」したとされています。

もっとも、その移住が米国の人口分布図を塗り替えるほどではないようです。前出のタルサ・リモートは3年前から移住者支援を行っていますが、これまでの採用者数は600人超を数える程度。そのうち400人は昨年の移住者数です(同プログラムは、2021年には750人を移転させる予定としている)。パンデミック後の州を跨いだ引っ越しの傾向は緩やかで、この動きはロングテールになる可能性があると指摘されています。

Airbnbの調査によると、米国人だと約47%、世界5カ国でも回答者の約44%が、移住する前にまず短期間でも住んでみて、その場所を確認したいと考えているとされています。

それでは、アラバマ州「Remote Shoals」やアーカンソー州北西部「Finding Northwest Arkansas」に応募したものの落選した人や、旅行ガイドで見たことがある歴史的なメインストリートや地元ならではのハイキングコースに興味をもった人は? そういう人は、これまで通りにAirbnbを使えばいいでしょう。


COLUMN: What to watch for

明るいWeWork

WeWork logo on an office in San Francisco
WeWork was crushed by the pandemic.
Image: Reuters/Kate Munsch

ワークプレイスの革命児といえば、WeWork、でした。パンデミックはWeWorkにどんな影響を与えたのでしょうか。各地のオフィスが閉鎖され、繁華街がゴーストタウン化するなか、同社は2021年第1四半期に20億6,000万ドルの損失を計上。『Financial Times』によると、損失額は前年同期比で約4倍にも上ります。WeWorkオフィスを利用する会員数は、2020年3月の69万3,000人から1年後には49万人に減少しました。

2019年のCEO更迭以降、WeWorkは多くの事業を売却し、数千人のレイオフを実施してきました。それでも世界に800の拠点をもつ同社は今年2月、会員数が増加していることを受けて「心強い回復の兆し」が見られると報告。同社によると、4月の物理的な稼働率は、全112市場のうち28市場で60%を超えているといいます。さらに中国では、昨年のパンデミック以前のレベルまで会員の訪問数が回復したと報告されています。

(翻訳・編集:年吉聡太)


⚠️ 現在、問い合わせ用メールアドレスmembers+japan@qz.com宛てにいただいたご連絡が届かない状態にあり、復旧を急いでおります。ご質問やお問い合わせは、support@qz.comまでご連絡ください。

🐦 Quartz JapanのニュースレターをTwitterでシェアいただいた方を対象に、ステッカーとご友人招待用クーポンをプレゼント! 対象の方のうち、ご希望の方はこちらのフォームにご記入ください。

🎧 Podcastは月2回配信。最新回では『K-POPはなぜ世界を熱くするのか』の著者Erinamさんをゲストにお迎えしています。AppleSpotify

👀 TwitterFacebookでも最新ニュースをお届け。

👇 のボタンから、このニュースレターをTwitter、Facebookでシェアできます。ニュースレターの転送もご自由に(転送された方へ! 登録はこちらからどうぞ)。