Deep Dive: New Cool
これからのクール
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昼寝を取り入れると「生産性が向上する」という理由から、スリープボッドやスリープルームを設置する会社も増えています。昼寝がなぜ大切なのか、改めて見てみましょう(英語版はこちら)。
スペインや中国をはじめとする多くの国の企業では、従業員がリフレッシュできるよう、昼間に仮眠をとることを推奨しています。
昼寝で得られる精神的、肉体的、経済的なメリットは数多くあります。研究によると、毎日昼寝をしている子どたちは、エネルギー、学業成績、幸福感が増加し、同時に不機嫌さや行動上の問題が少なくなることがわかっています。
BY THE DIGITS
数字で見る「眠り」
- 1,360億ドル(約15兆円):米国における、眠気が引き起こす生産性低下の年間コスト(2018年の調査)
- 787億ドル(約8.7兆円):2019年の睡眠サポート製品の世界売上高
- $12,985(約144万円):昼寝専用イス「MetroNap EnergyPod」1台の価格
- 35%:2014年にCDC(米国疾病対策予防センター)が発表したレポートによる、1日の睡眠時間が6時間以下と答えた米国人の割合
- 7~9:成人に推奨される1日の睡眠時間
- 6.8:2013年のギャラップ(Gallup)の世論調査による、米国人の1日の平均睡眠時間
- 7.1: スペイン人の1日の平均睡眠時間(2017年)
- 70%:英国人のうち、1日の睡眠時間が7時間未満の人の割合(2013年の報告書より)
- 6.5:2018年の「大都市で働く平均的な中国人社会人」の平均睡眠時間
- 0.5~2.5:宇宙飛行士が地球上にいるときと比べて減る、1日の睡眠時間
Why napping is so good for us
昼寝がいいワケ
昼寝が気持ちいいのは、脳が「事務的なこと」をしているからなのか、心も体もリフレッシュできるからです。
👀 精神面:6分程度の短い昼寝でも、事実や知識を思い出す能力に関係する長期記憶の部分を改善することができます。20~30分であれば、タイピングなどの運動能力や覚醒度が向上し、30~60分であれば、意思決定能力が向上します。NASAの調査によると、40分の仮眠で軍のパイロットと宇宙飛行士のパフォーマンスが34%向上し、覚醒度は100%向上したそうです。また、視覚に関するテストを行った別の研究では、90分の仮眠のあとでも、8時間の睡眠をとった場合と同等のパフォーマンスが得られたといいます。
🤸♂️ 身体面:昼寝は脳に良いだけでなく、身体にも良い影響を与えます。研究によると、睡眠不足の人が昼寝をすると、サイトカイン(サイトカインが増えすぎると臓器にダメージを与える)やノルエピネフリン(高血圧、不安、動悸などを引き起こすアドレナリン)のレベルが下がるそうです。
💰 経済面:『The Wilson Quarterly』によると、2011年の調査では、睡眠不足とそれに伴う疲労により、米国では年間632億ドル(約6.94億円)もの生産性の損失が発生しているといいます。他の研究では、20~30分の短時間の仮眠で、ストレスが減り、細部への注意力が高まり、認知能力が向上することで、仕事のパフォーマンスが最大34%向上すると報告されています。また、昼寝をする人は、衝動的な判断をすることが少なく、イライラに対する耐性も高いと言われています。
しかし、不眠症やうつ病を経験している人は、毎日の午後の「まどろみ」を避けたほうがいいかもしれません。ロチェスター大学睡眠研究所の副所長であるマイケル・ペルリス(Michael Perlis)によると、「昼寝は、不眠症の患者の夜間睡眠を悪化させる可能性がある」とのこと。「昼寝がうつ症状を増加させるかもしれない」と述べています。
Where did the siesta come from?
シエスタの起源とは
スペイン睡眠学会副会長のソムノロジスト(睡眠医療専門家)、フアン・ホセ・オルテガ(Juan José Ortega)によると、「シエスタ」という言葉はラテン語のsextaに由来するといいます。「ローマ人は1日のうち6時間目に食事と休憩をしていました。ローマ人が昼間を12等分していたことを考慮すると、スペインでは6時間目は午後1時(冬)から午後3時(夏)のあいだに相当します」
では、なぜイタリアの慣習がスペイン文化の代名詞になったのでしょうか? 一言で言うなら、「戦争」があったからです。1930年代後半のスペイン内戦後、多くの人々は家族を養うために2つの仕事を掛けもちしていました。2時間の休憩というのは、仕事の合間に家に帰って食事をしたり、昼寝をしたり、家族と過ごしたりするのに最適な時間でした。
ちなみに、スペインでは、60%のスペイン人がシエスタをしないと答えています。というのも、失業率が高いため、労働者が長時間労働をしていることを上司にアピールしたいからかもしれません。しかし、ギリシャ、フィリピン、コスタリカ、エクアドル、ナイジェリア、イタリア、中国などでは、昼食後の「眠る」時間が憲法上の権利とされた歴史があり、いまでも行っている国もあります。
POD PEOPLE
ポッドで一休み
20分眠れば生産性が向上するという考えを、先進的な企業は取り入れています。グーグルは、2010年、シリコンバレーにあるグーグル本社「Googleplex」にエナジーポッド(EnergyPod)を設置しました。
このポッドは、ラウンジチェアのような座席とドーム型の「プライバシー・バイザー」を組み合わせたもので、ユーザーは他人の目を気にせずに過ごすことができます(つまり、ヨダレを垂らしても誰にも見られないということです)。プライバシー・バイザーのなかでは、ユーザーは音楽をコントロールしたり、光や振動で目覚めるようにタイマーを設定したりすることができます(もちろん、多くのグーグル社員は現在、自宅で昼寝することができますが)。
スリープポッド、スリープルーム、ナップステーションなど、目を閉じて過ごすための場所は、米国の空港や大学にも登場しています。
A quick way to sleep better
質の良い睡眠のために
刺激的な生活が多くなった現代では、安らぎと静寂を意図的に確保することが、良い睡眠のために最も重要です。
📵 寝室に電子機器を持ち込まない
🕯️ 一貫した夜の習慣を身につける
🍷 寝る前に重い食事やアルコールを控える
みなさん、よい週末、よい睡眠を!
COLUMN: What to watch for
ラグづくりの醍醐味
若者のあいだで続く、DIYブーム。パンデミックの影響もあり、多くのGen Zやミレニアルズが家で「なにか」を作ることにハマっています。
先日、『Quartz Japan』のニュースレターで紹介した「かぎ編み」のほかに、ホームデコレーションのDIYで人気なのが「ラグ作り」。YPulseの調査によると、パンデミック期間中に13歳から39歳の若者が時間をつぶすために選んだ趣味の第2位はアート/クラフトで、ティーンエイジャーや20代の若者たちは、アパレルブランドや著名なミュージシャン、クリエイターなどからインスピレーションを得て、ラグ作りを楽しんでいるようです。
ビジネスにも繋げているのが、「IMakeRugs」を運営する25歳のアーティスト、ジュリアン・アームストロング(Julian Armstrong)。アーティストのキース・ヘリングにインスパイアされたラグを作っている様子を撮影したもの動画を投稿してヒットしたことをきっかけに(若者のあいだでトレンドが作られるのはTikTokがあるから)、関連用品を販売するサイトをローンチ。『Wall Street Journal』によると、彼は1年足らずで100万ドル(約1.1億円)以上の収益を達成したといいます。
(翻訳・編集:福津くるみ)
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