ロシアのウクライナ侵攻に対する経済制裁が注目されています。その手段のひとつとして先月26日、EUや米国、英国、カナダは、国際的な金融情報通信プラットフォームである「SWIFT」へのロシアからのアクセスを制限する方針で合意。EUは2日(現地時間)、措置の発動を発表しました。
一連の動きで、にわかに注目を集めたSWIFTとは、いったい何なのか。今日のニュースレターではそのポイントをビジュアルで解説します。
What is SWIFT?
SWIFTってなに?
SWIFTは、Society for Worldwide Interbank Financial Telecommunicationの略。世界中の銀行が、クロスボーダー決済を安全かつ迅速に進めるための連絡を可能にするメッセージングシステムです。
SWIFTは、1973年の設立以降、実に広く利用されています。加盟銀行は200の国・地域で約1万1,000行にのぼります。2022年2月の1カ月で8,200万件のメッセージが送信されています。
SWIFTはその重要性から、G10諸国の中央銀行、欧州中央銀行に加え、ベルギー国立銀行によって共同で管理されています。
How does SWIFT work?
どう機能しているの?
SWIFTにける重要な要素は「SWIFTコード」でしょう。システムに参加する各銀行にはこのコードが割り当てられ、その銀行がどの国のどこにあるかを(オプションとして支店も)特定できます。
Which banks will be banned?
効果はあるの?
措置の発動を前に、欧州連合(EU)は、どのロシアの金融機関をSWIFTから排除するかについて議論を重ねてきました。2日発表された対象銀行は7行を数えますが、最大手のロシア貯蓄銀行(ズベルバンク、Sberbank)やガス大手ガスプロムが一部所有するガスプロムバンク(Gazprombank)は含まれていません。
対象となった銀行は、以下の通りです。
- 対外貿易銀行(VTB)
- バンク・ロシヤ(Bank Rossiya)
- オトクリティエ(Otkritie)
- ノビコムバンク(Novikombank)
- プロムスビャジバンク(Promsvyazbank)
- ソブコムバンク(Sovcombank)
- 対外経済銀行(VEB.RF)
国際金融システムからロシアを切り離すという狙いからすると、これらの銀行をSWIFTへのアクセスから排除することは、ほんの一端に過ぎません。というのも、SWIFTはそれ自体、支払い・決済システムではなく、その情報を送受信できるメッセージングシステムに過ぎないのです。
SWIFTから切り離されたとしても、各銀行にはSWIFT以外のシステムが残されています。2014年のクリミア侵攻後にロシア中央銀行が設立した「SPFS」や、中国人民銀行がつくった「CIPS」など、代替候補となるシステムの名前はいくつも挙げられます。
さらに注目すべきは、ロシアの石油・ガスを担うガスプロムに対する国際決済はSWIFT経由では行われていないのです。
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