[qz-japan-author usernames=”cikukimeria”]
Africa Rising
躍動するアフリカ
Quartzのみなさん、こんにちは。今年もいよいよ暮れを迎えていますが、水曜のPMメールでは今一番熱い大陸アフリカをお楽しみください。英語版(参考)はこちら。
アフリカには、私たちがまだ知らない美しい自然や秘境が多く存在する。
2018年に6,700万人(前年比7%の成長)の観光客が訪れたアフリカは、今やアジア太平洋諸国に次いで観光産業が最も伸びている地域第2位となっている。
アフリカ諸国は観光産業に前向きな政策と投資による恩恵を受け、観光客にとってさらに魅力的なデスティネーションになりつつある。
例えばエチオピアでは、ビザの制限が緩和されたことと航空機の乗り継ぎが改善されたことにより首都のアディスアベバが交通ハブとして機能し始め、これまでアフリカへの入り口とみなされてきたドバイをも上回る勢いだ。ジュミア・アフリカホスピタリティーレポートによると、エチオピアは48.6%(2018年度)の成長率でアフリカで最も成長している観光国となっている。
Next destination
旅先はアフリカへ
ビジネス関連セクターの成長を目的とした政策によって、ビジネスを目的とした訪問客も増加しており、ケニア、ルワンダ、南アフリカはカンファレンスや展示会の自国での開催を率先して働きかけている。
■旅行・観光で訪れるアフリカ諸国ランキング
(世界経済フォーラム競争力指数2019)
※右の数字はスコア
- モーリシャス 4.0
- 南アフリカ 4.0
- セーシェル 3.9
- モロッコ 3.9
- ナミビア 3.7
- ケニア 3.6
- チュニジア 3.6
- ケープ・ヴェルデ 3.6
- ボツワナ 3.5
- タンザニア 3.4
この流れでホテルへの投資も増加しており、観光目的の支出が29%、レジャー目的の支出が71%となっており、「bleisure」(businessとleisureを掛け合わせた造語)目的の旅行者たちの増加も見込める。彼らは観光市場の中で新たに台頭しているグループで、ビジネス目的で訪れてレジャー目的で滞在している。
また、ビザの制限も旅行に行きやすいか、行きにくいかという一つの指標となる。
■2018年度のビザ制限が少ないアフリカ諸国ランキング
(世界観光機関)
※右の数字はビザ開放に関するスコア
- モーリシャス 84.6
- ベナン 74.9
- ルワンダ 71.8
- ギニア・ビサウ 71.5
- トーゴ 71.4
- ケープ・ヴェルデ 71.3
- ウガンダ 71.1
- モザンビーク 70.8
- セーシェル 70.6
- モーリタニア 70.4
また、アフリカ人にとってもアフリカ他国への旅行は、緩和されつつある。Visa Openess Indexによると、アフリカ人の51%がアフリカ他国へ自由にアクセスでき、アフリカ内の25%の国に対してビザなしで渡航ができる。ただ、49%のアフリカ他国へはまだビザが必要となっているので、今後どのように変わっていくかも注目したいところだ。
Growing up (観光業の成長)
絶対数で見ると、アフリカ大陸が占めるグローバルツーリズムのシェアはまだ小さい。GDP8.5%と総従業員数2,430万人に対し、全世界の海外旅行客のうちアフリカ大陸を訪れたのは、わずか5%。また、2018年度全世界で1.7兆ドル(約186兆円)あった観光産業の収益のうちアフリカ大陸が占めたのはおよそ1%だった。
しかし、さまざまな改善やイニシアチブも進んでおり、2020年も観光産業の成長は楽観視できそうだ。アメリカに在住するサブサハラアフリカ人(サブサハラ=北アフリカ以外のアフリカ諸国)の子孫たちを呼び込むキャンペーン「Year of Return」、特に中国や他のアフリカ諸国を対象としたビザ緩和政策、航空機の乗り継ぎ改善や、アフリカ大陸でのAirbnbの普及も後押しとなるだろう。
今年5月に設立され、協定が施行されたアフリカ大陸自由貿易圏(AfCFTA)によっても良い効果が得られそうだ。ジュミア・トラベルのエステル・ヴェルディエ氏は、この制度により「地域間のビジネスが増えることは明白で、経済的利益を大陸全体に生み出すだろう」と話している。
This week’s top stories
今週のアフリカニュース5選
- 西アフリカが新共通通貨に移行へ。西アフリカの8カ国が加盟する西アフリカ経済通貨同盟は、統治していた時代のフランスの影響が残る共通通貨CFA(セーファー)フランから、新たな共通通貨ECO(エコ)に移行することでフランス政府と合意。12月21日、加盟国であるコートジボワールのワタラ大統領が発表した。
- ナイジェリアのRensource Energyが2000万ドルを調達。ナイジェリアを拠点とするオフグリッド(送電線網を利用しない)のスタートアップRensource Energyが、CRE Venture CapitalとOmidyar Networkの支援により、シリーズAラウンドで2,000万ドル(約22億円)を調達した。同社は2016年に設立し、野外にある取引市場といった商業コミュニティなどに太陽光発電を使った電力を供給している。
- エチオピアが中国の援助を受け衛星を打ち上げ。エチオピアは、12月20日、中国南部の大原市宇宙センターから最初の衛星を宇宙に打ち上げた。この衛星は中国とエチオピアのエンジニアによって設計され、中国政府は700万ドル(約7億6,500万円)以上の製造コストのうち約600万ドル(約6億6,500万円)を支払っている。サブサハラのアフリカ諸国の多くは現在、開発目標を推進し、科学革新を促進するために宇宙プログラムの開発に努めている。
- バイクの配車サービスを手がけるスタートアップは、高額な賄賂と賦課を払う。バイクの配車サービスを手がけるスタートアップ企業は、アフリカ最大の都市ラゴスにおける交通手段の大黒柱になっている。しかし、規制された低雇用率地域では、公式および不法に利益を得ようとする者が攻撃を受けやすく、そういった企業が目を引くターゲットにもなっていることをも意味する。
- 世界一、海賊行為が頻繁なギニア湾。2018年、西アフリカの海賊は193名を誘拐した。一方、2019年は世界中で人質になった乗組員の95%がギニア湾にて誘拐されている。今、世界で最も海賊が出没するギニア湾での海賊行為は、恐怖だけではなく、非常に高価なものである。同地域での海賊行為は、海運業界に年間33億ドル(3,600億円)もの損害を与えると推定される。
(翻訳・編集:福津くるみ、写真:ロイター)