HERE’S WHAT YOU NEED TO KNOW
世界で今起きている事
Quartz読者の皆さん、おはようございます。米国の編集部は、独立記念日で連休中です。今日のDaily Briefはいつもの英語併記はお休みですが、特別編でお送りします。
- トップ大学が再開プラン発表、学費は…。世界最高峰として知られるハーバード大学が今秋から始まる新年度で、新入生をはじめ、学部生の40%をキャンパスに迎えます。同時に、すべての授業がオンラインで提供されることになりますが、年間約550万円にも上る学費はそのまま据え置きます。同じアイビーリーグの名門であるプリンストン大学も、部分的なキャンパス再開を含む新年度のプランを発表しましたが、こちらは学費を10%値引きするとのことです。オンライン授業でも、リアル授業と同じ学費を払うことについては、識者からも疑問の声が出ています。
- UberがPostmatesを買収した。配車サービスの巨人が、料理デリバリー大手、Postmates(ポストメイト)を26.5億ドル(約2850億円)で買収することになりました。ウーバーはこれまで、同じくデリバリーのライバルであるGrubhub(グラブ・ハブ)の買収を目指していましたが、条件面で折り合わなかったようです。新型コロナで伸びている料理デリバリー業界ですが、この買収によって、Doordash、Uber/Postmates、Grubhubの「3強」に再編されます。
- Wirecard子会社トップを逮捕。ドイツのオンライン決済システム大手、Wirecard(ワイヤーカード)の不正会計疑惑をめぐり、検察当局はドバイにある子会社の経営者を逮捕しました。同社では19億ユーロ(約2,300億円)の資産が不明となっており、破産を申請。逮捕されたのは前CEOのマークス・ブラウンに続き2人目で、前COOのヤン・マルサレクの所在はわかっていません。
- 国境紛争地のにらみ合い解消か。中国、インド両国は、国境をめぐり緊張状態が続くインド北部ラダック地方から、「撤退することで合意した」と発表。中国軍は施設を増設していましたが、撤去作業を始めたようです。インドでは反中感情の高まりから、中国製品の不買運動が広がっていました。
- Facebookが香港当局への情報提供を一時停止。香港国家安全維持法が施行されたことを受け、同社は、メッセージアプリ「WhatsApp」も含めた顧客データの提供を見合わせると発表しました。Twitterも、国安法の影響を評価するため、同様の措置を取るとしています。Facebookをめぐっては、人種差別やヘイト投稿に適切に対応していないとして、広告掲載を見合わせる動きが400社以上に広がるなど、厳しい目が向けられています。
- インドの感染者が約70万人に。同国は、新型コロナウイルス感染者数で、米国、ブラジルに続く世界3位となりました。一方、トップをひた走る米国では、感染の「99%は無害」と発言した大統領を、ニューヨーク州知事のアンドリュー・クオモが「コロナの共謀者になるべきではない」と批判しました。ウイルスとともに米国の格差をあぶり出したBLMムーブメントも収まる気配はありません。公園で飼い犬にリードをつけるよう求めた黒人男性を警察に通報した白人女性、エイミー・クーパーが告発されました。
Charting employees in food and drinking service
飲食業復活の裏で…
アメリカの多くの州で6月に、バーとレストランが、条件付きで再開しました。それにともなって飲食業界で働く人の数は6月に19%上がって、920万人になりました(米労働統計局の調査による)。全体でみると、ホテルやスポーツ、アミューズメントパークを含む、レジャー・ホスピタリティ業界における職の数は、21%増の1,200万人となりました。
これは、パンデミックで苦しんでいた業界にとって、待ちに待ったよいニュースに見えるかもしれませんが、必ずしも実態を反映しているとはいえません。この調査は6月7〜13日に実施されましたが、これは、アメリカの多くの州で感染がまた爆発する前のことでした。米アトランティック誌の慈善プロジェクトによると、労働統計局の調査直後の6月14日〜7月1日だけで、60万以上の新規感染者が発生しています。
A BRIEF HISTORY OF THE HOME OFFICE
リモートワークの歴史
ホームオフィスは多くの働き手にとって新しい現実かもしれません。実は、そこには長い歴史があるのです…。
- 1800年代:産業革命により、仕事をする場が家庭から工場に移りました。裕福な英国人は都市部の自宅に「ビクトリア朝の書斎」をつくり、これが今日のホームオフィスのひな形となっています。
- 1840年代:チャールズ・ダーウィンは、ウィリアム4世時代のスタイルのアームチェアに車輪を付けて、研究室内を移動できるようにしました。歴史家は、これを最初のオフィスチェアと呼んでいます。
- 1973年:NASA(米航空宇宙局)の物理学者で「テレワークの父」でもあるジャック・ニレスは、WFH(Work From Home)ムーブメントのきっかけとなった本、『Telecommunications-Transportation Tradeoff(遠距離通信と輸送のトレードオフ)』を出版しました。
- 1974年:初のパソコンキット、MITS Altair 8800が459ドルの販売価格でデビュー。
- 1979年:IBMは5人の従業員の自宅にリモート端末を設置し、リモートで仕事ができるようにしました。
- 2000年代:高速ブロードバンドインターネットによって、従業員は企業の本社に縛られなくなりました。
- 2017年:IBM、Yahoo、米家電量販店大手のBest Buy(ベストバイ)、米医療保険大手のAetna(エトナ)がリモートワークプログラムを中止。
- 2020年:住宅メーカーによると、新型コロナウイルスが大流行するなか、より多くのオーナーがホームオフィスを求めているそうです。不動産業者は、家の売り手に空き部屋をホームオフィスにするようアドバイスしています。
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The next five years of…
食のニューノーマル
US版Quartzでは「The New Normal」と題した特集を実施。ビジネスやヘルスケア、アートやアカデミアなど、54人の専門家に「コロナ後の5年」を訊きました。Quartz JapanのDaily Briefではその一部を紹介。今朝は、米代替肉メーカー大手のImpossible Foods(インポッシブルフーズ)CFOのデービッド・リーが語る「5年後の食」をお届けします。
近年、消費者は、「植物由来の肉」に高い伸び率で適応してきました。しかし、今回のパンデミックによって、食用動物の飼育に伴う大きな課題や、動物を食べることが健康におよぼす壊滅的な影響も含めて、「肉がどこから来ているのか」ということが新たに認識されるようになりました。
私たちが懸命に取って代わろうとしている食肉業界にとっては不幸なことに、この危機によってそのシステムの非効率性が悪化し、業界はますます脆弱になりつつあります。肉に動物を使うという古くからのテクノロジーは、今後、より機能的、効率的、かつ安全な、植物由来の肉のようなテクノロジーに置き換えられていくでしょう。
Best Buyが最も変革を遂げた時期に同社のコーポレート・ファイナンス部門の責任者を務めていた頃から、テクノロジーには小売業の世界を変える可能性があると考えていました。この変革は新しい分野を加速させており、異なる購買形態を横断して、よりシームレスになっています。
例えば、Ele.me(ウーラマ、餓了麼)やMeituan(メイチュアン、美団)のようなテック企業がアジアの密集した都市で展開するフードデリバリーのトレンドは、D2C(Direct to Consumer)と同様、いまや世界的に重要性が高くなっているように見えます。小売業や外食産業は、今後もフードサービスや食料品流通のための新しくてより良いモデルを革新し、開発していくでしょう。
また、モバイル、集荷、配送を通じてオムニチャネル化した小売りも、食品業界の枠を超えて成長を続けるでしょう。例としては、薬局におけるPillPack(ピルパック)やアパレルにおけるStitchFix(スティッチ・フィックス)の成長が挙げられます。
──デービッド・リー(Impossible Foods CFO)
【今日の夕方は…】
本日7月7日(火)のPMメール「Asian Explosion(爆発するアジア)」のテーマは「あなたにも降りかかる国家安全法」。香港で施行された国家安全法を巡って、世界中で物議を醸していますが、この法律の対象となるのは、香港に住む人々だけではありません。地球上のすべての人に適用され、中国本土の刑法よりも広範囲に及ぶものだったのです。
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