Africa:地元の商店が「銀行」になる

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Stories this week

今週のアフリカ

  1. エージェントバンク・ブームに賭ける。お金を預けたり引き出したりする場所として思い浮かぶのは銀行ですが、ナイジェリアでは街角にある小さな商店がエージェント(代理店)としてその役割を果たすケースが増えています。銀行の支店やATMよりもエージェントが多いこの国では、エージェント・バンキングをどう活用するかがデジタル金融サービス市場で成功するためのカギを握っています。最近では南アフリカのフィンテック企業MFS Africaが、ナイジェリアに大規模なエージェントネットワークをもつCapricorn Digitalを買収しました
  2. …eNairaはデビュー戦で失敗。ナイジェリアの指導者たちは、10月25日に予定より3週間遅れで発表された中央銀行デジタル通貨(CBDC)、「eNaira」に大きな期待を寄せていました。しかし、eNairaのウォレットはユーザーからの低評価を理由にGoogle Play ストアから削除されてしまったのです。中央銀行の革新的な賭けの始まりは、残念な結果に終わりました
  3. 医薬品供給をデジタル化で便利に。 2015年創業のField Intelligenceは、ケニアとナイジェリアで医薬品供給のデジタル化を担っているスタートアップです。約800の薬局に、医薬品の在庫予測や管理、品質保証、フルフィルメントなどを定額制サービスとして提供しています
  4. 穴だらけのCOVID-19データ。公式統計によると、アフリカにおけるCOVID-19感染者数は合計約850万人です。しかし、世界保健機関(WHO)が独自の調査・分析により推測した実際の感染者数に比べると、これは実際の数の15%にも満たないといいます。こうした差が生まれる原因は、医療資源が限られていることにあります。アフリカのほとんどの国では都市部以外の地域に基本的な医療インフラが整備されておらず、検査や診断を受けることが難しくなっているのです。
  5. サブサハラ・アフリカは経済回復に苦戦。国際通貨基金(IMF)が発表した最新の経済報告書によると、サブサハラ・アフリカ地域ではワクチンの普及が難航しており、COVID-19のパンデミックからの回復に世界で最も時間がかかると予想されるということです。
  6. 深刻な注射器不足。アフリカへのワクチンの供給が増えているなか、注射器不足が接種の妨げになるかもしれません。国連児童基金(UNICEF)によると、需要の増加やサプライチェーンの混乱、国による注射器の囲い込みなどによって、2022年末までに最大22億本の使い捨て注射器が世界で不足する可能性があるといいます。

PARIS AGREEMENT PLEDGES

約束の日まで

クリーンテックに資金が投じられているにもかかわらず、ほとんどの国がパリ協定の約束に向けて十分な取り組みを見せていません。こうしたなか、削減に向けて着実な努力をしているのは、世界で最も二酸化炭素排出量が少ない国のひとつでもあるガンビアです。

下図は、各国がパリ協定の公約達成にどれだけ近づいているか(あるいは遠ざかっているか)を示すインフォグラフィックです。リンク先の記事ではインタラクティブ版を公開しています。


Dealmaker

今週のディールメーカー

  • ソフトウェア企業向けにデビットカード発行用のAPIを提供するザンビアのスタートアップ・Union54が、Tiger Globalが主導するシードラウンドで300万ドル(約3億4,164万円)を調達しました。Union54は2カ月前に、ザンビアのスタートアップとしては初めてY Combinatorによる21年夏のアクセラレータープログラムを卒業したばかりです。なお今回の資金調達ラウンドには、Runa Capital、Ace & Company、Todd & Rahul Angel Fund、ナイジェリアのデジタルバンクKudaの最高経営責任者(CEO)であるバブス・オグンディ(Babs Ogundeyi)などが参加しています。
  • 自動車マーケットプレイスの運営を手がけるナイジェリアAutochekは、TLcom Capitalと4DX Venturesが主導するラウンドで1,310万ドル(約15億円)を調達しました。これは、Autochekにとって、2020年11月の340万ドル(約3億8,715万円)の調達に続きこの1年で2回目の資金調達です。Autochekは今年いくつかの企業を買収しており、銀行や自動車販売店との提携によってさらなる成長を目指しています。
  • 南アフリカヘルスケアマーケットプレイスであるRecoMedが、150万ドル(約1億7,078万円)を調達しました。今回の資金は、患者が医療従事者をオンラインで探して予約できる同社のサービスの拡大に使われるとのことです。今回のラウンドでは南アフリカに特化したベンチャーキャピタルのVunani Fintech Fundが100万ドル(約1億1,385万円)を出資し、残りをAAIC、Growth Grid Venture Capital Partners、ケニアに拠点を置くPush Venturesが出資しました。

CHARTING GIG ECONOMY FLEXIBILITY

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ワーカーにとって、ギグエコノミープラットフォームが約束する最大の特典のひとつとなるのが柔軟性です。しかし、調査会社Caribou Digitalの研究員であるグレース・ナタバアロ(Grace Natabaalo)によると、パンデミック中の「柔軟な在宅勤務」は、育児という無給労働を期待される女性にとっては特に負担が大きいと言います

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スーダンでクーデター。10月25日に軍がクーデターを起こしたスーダンでは、抗議活動により少なくとも12人が死亡しました(11月1日現在)。クーデターのリーダーであるアブドルファタハ・ブルハン将軍は、アブダラ・ハムドク首相とその妻、および閣僚たちを拘束し、全土に非常事態を宣言しました。ハムドク夫妻は10月26日に釈放されましたが、世界各国の首脳がこのクーデターを非難しています。また、アフリカ大陸での反乱や抗議運動、選挙の際によくあるとおり、クーデター後にはインターネットも遮断されました


one more 💡 thing

セネガルの声

Netflixの大人気犯罪ドラマ「Lupin/ルパン」で主演を務めたオマール・シーが、次の大作のために自身のルーツであるセネガルに心を寄せています。

現在43歳のシーが出演予定の「Father & Soldier」は、第一次世界大戦中にフランスのために戦ったアフリカ人兵士たちを描いたアクションドラマ。シーが演じるバカリー(Bakary)は、フランス軍で戦うことを余儀なくされた17歳の息子ティエルノ(Thierno)のために自らも軍に入隊するセネガル人です。どちらも架空の人物ですが、「ティライユール」と呼ばれる実在のセネガル人兵士たちをモデルとしています。ティライユールはアフリカ西部や北部から集められ、戦争でフランス軍のために戦いました。

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Image: OMAR SY, 02/29/2020 REUTERS/MICHELE TANTUSSI

「Father & Soldier」の時代設定は1917年ですが、この作品をきっかけに1944年12月の事件がもっと注目されるようになるかもしれません。この日、フランス軍がセネガルのダカール郊外のキャンプで数百人の植民地兵を殺害しました。殺害の理由は、植民地兵たちが自分たちの働きに見合う正当な賃金の支払いを要求したことです。当時の植民地兵たちの賃金は、どんなによくても白人のフランス人兵士の半分以下でした。

この悲劇についてフランスはほぼ沈黙を貫いており、演劇をはじめとする記憶を風化させまいとする取り組みも抑圧されてきました。長らくフランスでの上映が禁止されていたセンベーヌ・ウスマンの映画『Camp de Thiaroye』もそのひとつです。しかし、今回は違うかもしれません。シーは、フランスの公共放送を担うフランス・テレビジョンとフランス最大の民間放送局であるカナル・プリュスの「揺るぎない支持」を得たと話しています。なおシーの会社は「Father & Soldier」の共同製作に名を連ねています。撮影はフランスとセネガルで行われるということです。

2023年に映画が公開されれば、モーリタニア人の母とセネガル人の父の間に生まれたシーがどのように歴史の重みを背負っていくのかに、観客の視線が注がれるでしょう。この新たな作品は、アフリカ人たちが自らの物語を語る歓迎すべき取り組みです。

──Alexander Onukwue, west Africa correspondent


🎵 今週の「Weekly Africa」は、ナイジェリアのLadipoe feat. Bujuによる「Feeling」を聴きながらお届けしました。日本版の翻訳は川鍋明日香、編集は年吉聡太が担当しました。


🎧 『Off Topic』とのコラボレーションで実施してきたウェビナーシリーズ。いよいよ最終回となる第4弾は、11月25日(木)20:00〜21:30に開催する予定です。参加申込みはこちらからどうぞ!。

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