Asia:世界が中国に「うんざり」

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Tuesday: Asian Explosion

爆発するアジア

Quartz Japan読者の皆さん、こんばんは。世界にポジティブなイメージを投げかけるべく、ナラティブをつくりあげようとしている中国。しかし、その努力とは裏腹に、世界各国からはこれまでないほどにネガティブな見方をされているようです。参考記事はこちら(英文)。

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Image: REUTERS/ROMEO RANOCO

今、世界の中国に対する目線は、歴史的にみても非常にネガティブです。

Pew Research Centerの新しい調査によると、2020年はCOVID-19のパンデミックにはじまり、香港への強硬な取り締まり、新疆ウイグル自治区でのウイグル人弾圧に対して意識が高まっているのを背景に、否定的な見方が“急上昇”しているようです。

この調査は、6月10日〜8月3日までの期間で世界14カ国の成人1万4,000人以上を対象に行われました。そのうち9カ国におけるネガティブな中国観は、同センターが10年以上前に同じトピックに関する世論調査を開始して以来、最も高い数値を記録することになりました。

unfavorable views of China

「ネガティブ」な理由

中国に対する否定的な見方が最も上昇したのは、オーストラリア。2019年から24ポイント上昇し、81%が中国当局に対して「好ましくない」と回答しています。

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今年、中国当局はオーストラリア産大麦に関税をかけ、牛肉の輸出を制限し、オーストラリア産ワインのダンピング調査を開始。それにより、中国・オーストラリア間の緊張は高まっています。これらの動きはすべて、オーストラリア当局が新型コロナウイルスのパンデミックの発生源をめぐって国際的な調査を求めたあとのことです。

先月9月にも、外交上の対立が緊迫するなか、オーストラリア人特派員2名が中国からの出国を国防当局に禁じられ、その後、中国から急きょ国外退去させられました。

英国においては、中国を好ましくないと思う人が2019年の50%強から75%に急増しました。

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英国政府は、英国海外市民(BNO)パスポートの資格をもつ香港人300万人に対して市民権への道を提供するなど、香港の抗議運動を声高に支援してきました。また、英国は香港の活動家の拠点にもなっており、中国当局を大いに悩ませています。

米国では、ドナルド・トランプ大統領が就任して以来、中国に対する否定的な見方は着実に上昇し、30ポイント近く増加しています。英国と同様、米国人の4分の3近くが中国を否定的に見ています。

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今年初めに発表されたPew Research Centerの別の調査によると、中国を脅威だと考える米国人は10人中9人をわずかに下回る程度です。

一方で、Covid-19の大流行による否定的な感情がさほど大きく上昇していない国が、日本です。

もっとも、それは何世紀にもわたる両国間の緊張の歴史のせいで、日本が長い間、隣国に対して強い嫌悪感を抱いてきたからにほかならないといえるでしょう。

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とはいえ、日本の経済は中国の経済と密接に絡み合っています。

今月6日、日本と米国、オーストラリア、インドの外相が参加して東京で行われた“クアッド”会合では、米国のポンペイオ国務長官が、中国のインド太平洋地域における “包囲網”を牽制するコメントを発表。

一方の中国は、会合前にも報道官の汪文斌(Wang Wenbin)はコメントを発表。「地域諸国間の共通の利益のために、相互理解と信頼に貢献したい」としています。


This week’s top stories

今週の注目ニュース4選

  1. 中国がアジアの果物を食べ尽くす。2019年、中国は14億ドル(約1,470億円)相当のサクランボを輸入していました。米農務省(USDA)によると、同年のサクランボ輸入量は世界でみても第1位(45%)。この“サクランボ狂い”は、中国で加速する青果需要を反映したもので、2019年だけで23%の伸びを記録。EC大手のPinduoduo(拼多多)は、海外の農産物生産者が同社のプラットフォームにマイクロショップを開設するようすすめています
  2. 人気のクルージングは“寄港地がない”。シンガポールを拠点にクルージングを運営するGenting Cruise Lineが売り出した「どこにも行かないクルーズ」に、5日間で6,000件以上の予約があったそうです。このクルージングは12月1日就航予定で、約1,000名を上限に募集されたもののほぼ完売状態。過去2週間と比べて予約は500%増加しており、「期待を上回った」と関係者は述べています
  3. Googleを待ち構える巨大な落とし穴。13億人を超えるインド市場に擦り寄るGoogleの好意とは裏腹に、地元のスタートアップ経営者は警戒を強めています。地場企業のグループは10月10日に、日本の公正取引委員会に相当するインド競争委員会(CCI)に、Googleの恣意的な方針(Google Playにおける30%のアプリ内課金など)に対する措置を求めたと報じられています
  4. ワクチンは「ハラル」と認める。今月初めにインドネシアのマアルフ・アミン副大統領は新型コロナウイルスのワクチンは「ハラルでなくてもいい」と明言。同氏は8月、中国とインドネシアが共同で開発を進めているワクチンについて、ハラル認証を取得するべきとの見解を示し、人命より宗教を優先する考えに批判の声が上がっていました。が、ここにきて結局、この中国産ワクチンのハラル認証されることを、ハラル認証機関のインドネシア・ウラマー評議会(MUI)と政府で合意したと報じられています

(翻訳・編集:鳥山愛恵、年吉聡太)


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