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Africa Rising
躍動するアフリカ
Quartz読者の皆さん、こんにちは。毎週水曜の夕方は、次なるイノベーションの舞台として世界が注目する「アフリカ」の今と、今週の注目すべき4本のニュースをお届けしています。 今回は、アフリカのスマホ市場と新型コロナウイルスで予測される影響をお伝えします。英語版(参考)はこちら。
IDCのデータによると、アフリカ向けスマホの出荷台数は、ブラックフライデーやクリスマスシーズンには、前年比5.4%増の2,440万台。フィーチャーフォンの出荷台数は2.6%減の3,440万台になりましたが、手ごろな価格なスマホが並ぶので、依然として市場の58.4%を占めています。
Chinese mobile brand
一人勝ちのブランド
スマホの出荷をリードしたのは、中国・深センを拠点にするTranssionで、Apple、Samsung、Huaweiに次いで世界で4番目に大きい携帯電話メーカー。所有するTecno、Infinix、iTelの3ブランドあわせて40.6%のマーケットシェアを占めます。そのあとにはSamsungが18.6%、Huaweiが9.8%と続きます。
フィーチャーフォンの販売市場は、69.5%を占めるTranssionブランドの一人勝ちで、続くHMD(Nokia)は10.2%のシェアにとどまっています。
アフリカ大陸では現在電話回線がアップグレードされ、ソーシャルメディアの人気が上がり、多くの国でモバイルインターネットへのアクセスも安価になってきています。そのため、スマートフォンの需要は大きく伸びているのです。
Reasonable Price
人気の100ドルスマホ
しかし、都市部の中流階級層の平均月収が500ドル(約55,000円)であるアフリカでは、スマホに200ドル(約22,000円)から300ドル(約33,000円)を支払うのは大きな出費です。
そこで、100ドル以下の商品を製造するTranssion、Huawei、BBK(OPPOブランド傘下)を含む中国メーカーが、急速に伸びるアフリカのスマホ市場を素早く支配できたのです。
南アフリカでは地元ブランドMobicelも健闘しており、500ランド(約30ドル=約3,300円)の価格帯のスマホを販売しています。
このような安価なスマホモデルが登場し、100ドル以下のスマホの市場シェアは2018年の第4四半期には46.8%から51.2%まで伸びました。200ドル以下のモデルの総計では、同四半期に出荷されたスマホ全体の83.2%を占めています。
特にTranssionは、暗い肌に適応するカメラ、複数のSIMカードスロットなど徹底的にアフリカにローカライズした機能進化した機能を備え、Samsungと比べて低価格で提供することによりアフリカの消費者を積極的にターゲティングしてきました。
また、ナイジェリアのアーティストDavidoと契約したり、さまざまなメディアプラットフォームを活用した大規模な広告やブランドキャンペーンによって、ラゴスからナイロビまで、知名度を上げています。
Transsionはアフリカでのこの成功をもとに、2019年9月には中国の新興市場「科創板」(スター・マーケット)で上場し、時価総額は7,000億円に達しています。
The effect of coronavirus
新型コロナの影響
全体で見て、アフリカの電話出荷数は、2019年第4四半期において3.8%の成長を遂げています。大陸の最大市場である南アフリカとナイジェリアへのモバイル端末出荷数は、前年に比べそれぞれ2%(南アフリカ)と5.2%(ナイジェリア)成長しました。
このように2019年は力強い成長を見せたモバイル市場ですが、新型コロナウイルス感染拡大による世界経済への影響を鑑み、IDCは2020年第1四半期の出荷数は8.4%減の4,870万台と推測しています。
「COVID-19の感染拡大に伴う中国工場の閉鎖により、スマホ部品のサプライチェーンに大きな混乱が生じています」と、IDC調査マネージャーのRamazan Yavuz(ラマザン・ヤヴツ)は述べています。「COVID-19の影響により、アフリカ全土を通して、国ごとのローカルな経済とマクロ経済の両方が抱えている既存の課題を、さらに悪化させているのです」
アフリカでは、インターネットのシャットダウン問題、国営電力会社Eskomの供給が不安定なことで日常茶飯事に発生している停電など、国内で解決すべきインフラ問題も多くあります。
モバイル市場はもちろん、新型コロナウイルスの影響でそれに関わるインフラ問題への影響も少なからず出てくるでしょう。
This week’s top stories
今週の注目ニュース4選
- ジャック・マーがアフリカへコロナ対策キットを寄付。アリババの創設者ジャック・マーが、600万個以上の医療品を寄付。貨物便は、3月22日(現地時間)、エチオピア・アディスアベバに到着しました。物資は、パンデミックと戦うために必要としているアフリカ諸国にそれぞれ配布されます。
- 南アフリカが封鎖へ。シリル・ラマフォサ大統領は、21日間における全面的な封鎖を発表しました。5,600万人の住民に対して行われる封鎖は、3月26日(現地時間)の夜から始まります。
- マウンテンゴリラにも新型コロナウイルスの脅威。人間だけでなくアフリカの絶滅危惧種でもあるマウンテンゴリラに対するリスクも危惧されています。世界の約3分の1のマウンテンゴリラが生息するコンゴのヴィルンガ国立公園では、「マウンテンゴリラを含む霊長類が新型コロナウイルスに起因する合併症の影響を受けやすい」ことを明らかにした専門家のアドバイスにより、6月1日(現地時間)まで来園禁止にしています。
- カメルーンのサックス奏者が死去。世界的にも活躍していたカメルーン生まれの歌手兼サックス奏者である86歳のManu Dibango(マヌ・ディバンゴ)が、3月24日(現地時間)、新型コロナウイルス感染で死亡したと、Facebookページの声明で明らかになりました。感染者数が増え続けるアフリカですが、著名人の訃報がより身近な脅威として感じられるようになるかもしれません。
【今週の特集】
今週のQuartz(英語版)の特集は「Why startups fail(なぜ、スタートアップは失敗するのか)」です。スタートアップのムーブメントが世界を覆いはじめても、やはり成功するのは難しい。そんな中で、スタートアップの成否を左右する一つの要素について、Quartzがレポートします。
(翻訳・編集:福津くるみ)
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