Deep Dive: Future of Work
「働く」の未来図
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Quartz読者の皆さん、今日もお仕事お疲れさまです。もう1週間働けば、日本は大型連休。新しい環境で仕事を始めた方々も、もう慣れてきたところでしょうか。今日は、米版Quartzの「A book to prepare your children for the future of work」と題した記事の翻訳をお届けします。
「働く」って、どういうことだろう?
子どものころはただ遊んでいればよくっても、物事は移り変わる。そしていつか来るある日、君は仕事を始める。
確かに、未来は予測不可能で、先の仕事のことなんてわからない。でも、判断し、すばやく行動できれば何も恐れることはない。
さあ、未来の仕事を覗いてみよう。アルファベットの「AtoZ」で。怖がらずに、見てみよう。
AはAutomation(自動化)のA。
それは、ヒトの仕事を破壊するもの。
かつてストライキの原因になったほど。
とはいえ、これは素晴らしいことでもある。
例えば、農業革命。
農業はむかし本当に大変な仕事だった。
自動化がもたらす効果は複雑で、
創造し、終わりを告げもする。
自動化は人間の仕事を奪うだけ?
答えは難しい。なにしろ場合によりけりだから。
BはBenefits(福利厚生)のB。
労働に対して支払われるのは、お給料だけじゃない。
ヘルスケア、育児休暇、年金……。
いまではこんな福利厚生が流行っている。
休みをたくさん取りたいなら、
教育業界に入るのもいい。
お世辞にも給料は最高とは言えないけれど、休みは期待できる。
CはComputer Science(コンピュータ・サイエンス)のC。
学ぶのに、とてもよい科目。
コードを書くには勉強が必要だから、
友だちといっしょに
Javaを学ぶなんてどうかな?
コンピュータ・サイエンスは楽しくて、
おまけに高給間違いなし。
きっと、君は成功することだろう。
この先ソフトウェアが
コーディングを簡単にしすぎなければ。
DはData(データ)のD。
世界のどこにでも存在するけれど、
理解するのは難しい。
だからこそ、その知識をもった人材が求められている。
Python、R、Excel。
そしてチャートのつくり方。
これらのスキルを手にした君のキャリアは飛躍するはず。
控えめに言っても、いいスタートは切れる。
EはElderly(高齢者)のE。
高齢者には手厚いケアが必要で、
人類は高齢化し、90歳代も珍しくない世界が訪れる。
すると、高齢者がよい生活を送れるよう
サポートするヘルパーが求められる。
ただ悲しいことに、これらの仕事は低賃金。
けれども、そんな仕事が必ず増えていく。
FはFossil Fuels(化石燃料)のF。
地底深くに埋まっている。
でも、自然エネルギーの方が活躍の場は
増えてきている。だから、
石油の発掘なんてしなくなる。
例えば、ソーラーパネルを敷く仕事はどうだろう。
これはアメリカで最も急成長している職業のひとつ。
給料もそれなりにいい。
それに何より、わたしたちを
「破滅」から助け出す救世主かもしれない。
GはGig Economy(ギグ・エコノミー)のG。
Uberやマーケットプレイスの「Task Rabbit」のようなもの。
もはや「副業」も当たり前になったから、
選択肢として考えてみては?
ギグ・エコノミーは成長している。
反面、いまのところ、雇用市場は安定している。
フルタイムの仕事がなくなったわけではないけれど、
覚えておいてほしい、
自分の意思と能力さえあれば副業しない手はないってことを。
HはHolacracy(ホラクラシー)のH。
それは管理階層が存在しない状態、
肩書きのないフラットな組織。
会社を大きく成長させるイノベーションを支援する方法。
君はホラクラシー組織が苦手かもしれない。
リーダーを置かないことが混乱を引き起こすケースもあるから。
特に、君が人の決断に従いたいタイプなら辛いかもしれない。
決めてくれる上司はいないから、
能動的に動かなければならないから。
IはInclusion(インクルージョン)のI。
企業は多様な人材を求めている。
多様性を実現するために専属のマネージャーを採用するほど。
なぜって、一部の業界はかなり酷い状況だから。
君が社会人になったなら、
すべての人に敬意をもって接するようにしてほしい。
自分の偏見や違いを理解しようと努力すること。
自分の行動が、正しくあるように。
JはJob Search(ジョブ・サーチ)のJ。
LinkedInのような求人サイトが出てきて、
自分に合う仕事を見つけるのは格段に簡単になった。
企業側にも、「必要な人材」を直接探す機会ができた。
ジョブ・サーチをしっかりすれば、
会社に長くいられるかもしれないし、
仕事の満足度だって高くなるはず。
そして、新しい仕事を探すときには必ずや成功の手立てになる。
KはKiosks(小売)のK。
小売業は変わりつつある。
わたしたちは、自分で画面から注文し、
支払いまで画面で簡単に完結できる。
つまり、役割の再編成が起きている。
もし君が小売業で働くことになったなら、
さまざまな仕事があることだろう。
ただただレジに座っているだけではなく、
お客のどんな要望にだって
応えることができるようになる。
LはLifelong Learning(生涯学習)のL。
わたしたちは常に新しいスキルを
身につけなければならない。
テクノロジーの進化は凄まじい。
じっとしているわけにはいかない。
新しいソフトウェアやワークスタイルを
君は受け入れざるをえない。
だからたくさんのオンラインコースを受講するといい。
そうすれば苦労せずに対応できるはずだから。
MはMiddle-skilled Jobs(ミドルスキル・ジョブ)のM。
ホワイトカラーとブルーカラーの中間にある彼らは
すぐに消えてしまう。
だから教育を受けた知識労働者になろう。
さもなくば、低スキルの職業に就くのが、
君の未来の姿だから。
これは主に都市部に当てはまることで、
ミドルスキルの仕事は自動化されたり、なくなったりしている。
つまり、「仕事」は高スキルか低スキルのどちらかしか存在しなくなる。
この不平等の矛先は、紛れもなくわたしたちに向いている。
NはNon-compete Clause(競業避止義務)のN。
これは仕事に就くときにサインしなければならない契約書。
これがあるから競合他社のために働くことはもちろんできないし、
必死で学んできたスキルを持ち出して辞めることもできない。
でも、これでは市場競争が阻害されてしまう。
最近では競業避止義務を認めないところも出てきている。
スタートアップの立ち上げ数が少なすぎる原因のひとつかもしれない。
OはOrganized Labor(組織労働者)のO。
何年も前から世界の多くの地域で、労働組合員の割合は減っている。
ただ、格差が広がれば組合文化は息を吹き返すかもしれない。
労働者の利益分配率が低ければ、暴動につながることだってある。
PはPay Gaps(賃金ギャップ)のP。
いまはまだ女性や有色人種の収入は少ないけれど、
少しずつ変化しているから、未来は明るいかもしれない。
しかし、多くの企業のトップは男性と白人のまま。
人種、性別、出自によらず
誰もが思う存分能力を発揮する職場にするには「力」がいる。
「真の権力」を手に入れるには、まだまだ戦いが必要みたいだ。
QはQuarantine(隔離)のQ。
ウイルスに感染すると、
治療のために仕事の手を止めなければならない。
そうすれば、あなたは仕事を失うかもしれない。
でも、それはあなたのせいじゃない。
頑張って貯金するか、経済的に安定した会社を探すか……。
蓄えておくのはいいことだけど、未来は決して確かじゃない。
RはReal Estate(不動産)のR。
不動産がお金持ちだけでなく、誰の手にも届くものであれば、
雇用市場は健全な状態に保たれる。
ある都市は不動産価格が高すぎて、
住宅を探すことすら苦労する。
さらに子どもができたら引っ越さなければならないのが、いまのリアル。
そんな人にとって中心部から離れた郊外は
魅力的な選択肢になる。
SはSpace(宇宙)のS。
わたしたちはそう遠くない将来、
火星で働くことになるかもしれない。
あるいは月でも別の惑星でも。
宇宙ステーションにいるかもしれない。
いまはまだ人工衛星が中心だけど、
宇宙経済は確実に成長している。
観光、そしてテラフォーミング……。
人類の行き先は、誰にもわからない。
TはTransparency(透明性)のT。
企業が自分たちの計画を自ら明らかにすること。
給料、戦略、財務……そのとき、
プライバシーはもはや重要じゃない。
これは心強いことかもしれないけれど、ちょっと怖くもある。
そう、同僚の収入を知るのは地獄の深淵を覗く羽目になりかねない。
UはUniversal Basic Income(最低限所得保障)のU。
市民であるだけでもらえるお金。
政府がすべての国民に対して
一定の現金を定期的に支給する政策で、
人びとの生活の基盤をサポートする。
何もしなくてもお金が手に入るとなれば、
怠け者ばかりになってしまうとか、
一日中ゲームをやる人が出てくると、
不安に思う人もいる。
でも、ベーシック・インカムは人びとの創造性を
解き放つきっかけになるかもしれない。
頭のスペースの多くを占める、給料の心配が消えるから。
VはVenerable(年配者への思いやり)のV。
70代でも働く人は増えていて、
さらにその数は増えていく。
たとえ60年ものあいだ働いても、
仕事を辞めるという選択は軽率かもしれない。
退職金が増えでもしない限り、
生きるための日銭は確保しなければならないから。
WはWorking From HomeのW。
通勤しない人、自宅で仕事をする人が増えている。
孤独だけど、お金は貯まる。
おまけにパジャマのまま9時〜17時まで仕事ができるなんて。
とっても素敵な「特典」のように思えるでしょう?
ほぼリモートワークのコンピューター・プログラマーになるのが最高かも。
XはXenophobia(外国人嫌悪)のX。
グローバリゼーションから一転、
排他的な社会が訪れようとしている。
君の仕事は、他の国とは一切つながらず、
自分の住む国の中だけで完結するのかもしれない。
いま、国粋主義者たちが世界で台頭しているように見えるけれど、
これは一瞬の悪夢。
貿易や移民はこれからも増え続けるのだから。
YはYoung children(子どもたち)のY。
保育料は莫大で、滞納してしまうかもしれない。
自分のキャリアの障害になってしまうことだってある。
ならば、北欧に住むのがオススメ。
アイスランドやスウェーデンに住んでみてはどうだろう。
そこなら家族に優しい政策がとられている。
きっと、君が必要とするサポートを与えてくれる。
ZはZzzの略。
生産性を高めるためには、深い眠りは必須。
睡眠は重要だから、
仕事に関係なく、自分のための時間を取ろう。
なにも人生は仕事が全てじゃない。
そのスタンスこそ、成功へと導いてくれるはず。
(翻訳:鳥山愛恵・編集:年吉聡太)
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